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Information on the knowledge and skills

教育上の目的に応じ学生が修得すべき知識及び能力に関する情報 看護学研究科

教育課程編成の構成概念

1)教育課程の基本的な考え方

   本研究科の教育課程は、施設内、地域・在宅において看護の専門職者として常に最善のケアを提供することができる質の高い看護実践者及び看護活動を活性化させる看護管理者の育成をするとともに、そのような実践者、管理者を育てるための教育者や研究者の育成を目指して教育課程を編成することとする。本専攻科の専門領域としては、「ケア技術学」、「母性看護学」、「小児看護学」、「成人看護学」、「老年者看護学」、「地域・在宅看護学」、「精神看護学」、および「看護管理学」の8領域を設定する。
   看護学は、実践の学問であり、実践のベースとなる理論・知識・技術は実践を通してその有用性と価値が高められる。そしてその実践から、さらに高度な理論や知識、技術開発へとつながる。各専門領域では、様々な健康レベルの人々が生きるあらゆる生活の場で質の高い看護を提供する人の育成を目指す。そのため、看護の場にある研究のシーズ・ニーズを教育及び研究に結び付け、看護ケアの本質と看護学を深く探求するとともに、新たな看護学の構築と開発に向けた研究を推進し、看護の質の向上を図るために必要な教育力の育成を目的とする。各科目の内容の構成やその展開においては、「科学的根拠に基づく看護ケアの実現に向けた看護実践を行う」、「看護の対象〈個人、家族、集団、地域〉に対して高度な看護を実践する」、「看護が提供される対象や場に対し、質の改善に向けて実践する」、「多様な立場から看護実践を多面的に分析し、倫理的感性をもって専門職としての責任を果たす」ことなどを重視する。

2)授業科目の構成

(1)ケア技術学領域

   ケア技術学領域では、ケア技術をホリスティックな人間観・健康観から探求する。また言語化されにくいケアリングの実践知やケア場面のその時その場の現象に焦点をあてて、ケアが意味するものやケアの成り立ちを探究する。さらに、脈波等の生体信号や心理社会尺度を用いて心身の両側面から、ケア技術の効果検証やケア技術の開発に取り組む。

(2)母性看護学領域

   母性看護学領域では、リプロダクティブヘルスの観点からジェンダー、妊産褥期、新生児期、子どもの健康、育児、パートナー、家族におけるケアを探求する。さらに、身体的ケアのみならず、心理的側面における不妊・周産期メンタルヘルスや地域における子育てのケア技術の開発に取り組み、医療機関や公共施設、社会に貢献できる人材を目指す。

(3)小児看護学領域

   小児看護学領域では、様々な健康レベル、あらゆる状況にある子どもとその家族を対象に、子どもの成長・発達とその生活環境を理解し、子どもと家族の健康を増進する、また、その子らしく成長・発達できるような実践と研究方法を探求する。さらに、子どもや家族がおかれる現状を変革することのできる人材として、社会に貢献していくことも目指す。

(4)成人看護学領域

   成人看護学領域では、ライフサイクルの中で最も幅広く変化に富んだ役割・生活習慣・価値観を有する成人期にあるひとを理解し、生活調整・生活再構築の視点から、疾病の予防、侵襲からの回復の促進、苦痛の緩和等を図るための看護の実践方法を探求する。

(5)老年看護学領域

   老年看護学領域では、生活者としての老年期にある人と家族を身体的・精神心理的・社会的側面と発達的側面からとらえ、総合的にアセスメントする能力及び,当事者の意思を尊重した支援課題と支援策を明らかにする研究方法の基盤を修得する。

(6)地域・在宅看護学領域

   地域・在宅看護学領域では、地域で暮らす様々な年齢、健康レベルの方を対象とした看護を探求する。病気や障害を抱える方を訪問して看護を行う訪問看護師の活動を中心とした在宅看護、健康の保持増進、疾病予防などの保健活動を行う公衆衛生看護の2つの領域の内容を含む。

(7)精神看護学領域

   精神保健上の問題を抱えた個人、集団および家族を対象とした精神看護のあり方を探求する。また、精神障がいをもつ人への支援、さまざまな立場にある精神障がい者家族支援、セルフヘルプグループ、多職種連携やアウトリーチサービスなどの精神看護実践を探求し、社会に貢献できる人材を育成する。

(8)看護管理学領域

   看護管理学領域では、組織理念に基づき統合的、創造的に組織を発展させることがで きる人材を育成する。教育課程の編成にあたって、ヘルスケアシステム、組織運営、経営管理の基礎知識と、看護管理の本質を探求する、看護サービスの質管理、キャリア発達、政策に関する科目を重視する。

2)教育課程の特色と構成

   本学のディプロマポリシーに沿い、4つの資質能力の向上を視野に入れた教育課程を構成している。授業科目区分として、「共通科目」9科目、及び「専門科目」24科目を配置し、講義と演習・実習の授業形態とした。
   様々の看護実践や看護教育の場で活躍している学修者が、共通科目、及び専門科目の特論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのカリキュラムを通して、学問的裏付けを確かなものとし、教育的視点や研究的視点、管理的視点をもちながら、組織における看護の向上に向けて、あるいは、地域医療の質向上に向けて、看護を創造し実践力を発揮することを目指している。学修者が保有する実践力を拡大し、それぞれの場でクオリティの高い看護を実践する牽引者として存在することを目標に編成している。

  1. (1) 共通科目には、多様な看護実践・看護教育の場で活躍する学修者が、実践について省察し、創造力を高めることを目標に看護の基盤となる科目を多く配置している。
  2. (2) 各専門領域の特論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲには、それぞれの専門性を追求し、教育・研究的視点をもちながら、地域・医療の質向上に向け、社会貢献することを目指した科目を配置している。
  3. (3) 特別研究Ⅰ及びⅡは、全ての領域において、各自の課題を追求し、学問的裏付けや根拠に基づき、研究を行い、看護の発展に向けて、それぞれの役割を発揮することを目標に配置している。

3)教育課程

(1)共通科目

   共通科目は、理論的・科学的根拠に基づいた看護実践ができる基盤、看護の場でスタッフの教育、看護学生の教育ができる教育・研究の基盤、看護が提供される場で総合的に看護のマネジメントができる基盤となる科目として、合計9科目を配置した。
   特に本研究科は、看護の現場で活躍できる質の高い看護実践者、看護管理者、看護教育者の育成を目的としていることから臨床における人間理解、看護の理論やエビデンスに基づく確かな看護、研究の基礎となる『看護理論』『看護研究の原理と方法』『看護倫理学』『看護教育学』の4科目を必修とした。選択科目は、専攻する各分野の学修内容の広がりや深まりを促進するための科目として設定した。

「必修科目」

 『看護理論』

   看護実践や管理を題材として理論と実践との統合を図るために、看護の主要概念,主要な看護理論の構成要素を探求すると共に理論構築のプロセスを学ぶ科目である。

 『看護研究の原理と方法』

   研究を進めていくための研究手法や研究課題を解決していくプロセスを学ぶ科目である。

 『看護倫理学』

   高い倫理観をもって看護実践や看護管理ができる能力を育成するための科目とし、特に臨床における倫理的課題を検討する科目である。

 『看護教育学』

   人間に関する哲学的洞察を踏まえて、人を育てることや看護における教育を考察し、   看護教育を担うための基本的知識を身につける科目である。

「選択科目」

 『看護マネジメント論』

   看護マネジメントを対象として研究を遂行し、質の高い看護管理能力を育成するための科目である。

 『看護専門職論』

   看護専門職として保健医療福祉の進歩やニーズに対応できる能力を育成するための科目である。

 『チーム医療実践論』

   保健医療福祉の多職種間連携、地域連携においてリーダーシップ及びマネジメント力を発揮する能力を育成するための科目である。

 『健康情報処理論』

   健康について学際的な視点からとらえるとともに、多様なデータを読み取り分析する能力を身に着ける。また、専門領域を問わず、合理的意思決定に求められる、エビデンスの分析や解釈に関する基礎理論と具体的手法を身につけることで、看護実践にいかすための科目である。

 『看護現象論』

   看護を様々の側面から捉え、看護実践に固有の知と技能が存在することを認識する。また看護実践の経験事例をもとに、看護現象の言語化を試み、看護実践が意味することを読み解き、洞察する力を養うための科目である。

(2)専門科目

   専門領域のケア技術学領域、母性看護学領域、小児看護学領域、成人看護学領域、老年看護学領域、地域・在宅看護学領域、精神看護学領域、及び看護管理学領域の科目では、ケアリングから看護実践を捉える観点や看護の本質から統合的、創造的に組織をマネージメントし発展させる観点、さらには看護の対象を人間の発達段階・人生周期看護から捉え、健康生活や健康回復を目指した支援を考える観点から、幅広く学修を深める。科目としては、領域ごとの特論Ⅰ、特論Ⅱ、特論Ⅲとする合計24科目を配置した。

『特論Ⅰ』

   講義を中心として、その専門領域の中核的な知見とともに最新の知識・技術を学修するために看護実践に関連する研究論文を検討し、看護の動向や様々な課題について探求する科目である。

『特論Ⅱ』

   特論Ⅰの学修を基盤として、研究論文のクリティーク、文献レビュー、プレゼンテーション、ディスカッションを中心に主に演習形式とした学修を行い、課題探求力、論理的・批判的・分析的・問題解決的思考力を育成するための過程の充実を図り、学生の研究課題に発展させる科目である。

『特論Ⅲ』

   特論Ⅱでの学びをさらに発展させ、研究のニーズ、シーズを探求するとともに、自らの研究課題を明確化し、より精度の高い研究計画作成に活かすための科目とする。

(3)研究科目

   研究科目は、『特別研究Ⅰ』及び『特別研究Ⅱ』により構成する。

『特別研究Ⅰ』

   共通科目及び学生が専攻した専門領域での学修をふまえて、学生の研究テーマに即した国内外の論文のクリティークを重ねて、研究課題を絞込み、適切な研究方法を検討し、研究計画書までの作成を個別指導もしくはゼミ形式で指導する科目である。

『特別研究Ⅱ』

   『特別研究Ⅰ』で作成した研究計画にそって、データ収集、分析・解釈、結果・考察、結論を論文としてまとめ、プレゼンテーションするまでの修士論文作成の一連のプロセスを学修する科目である。
   時間数は、1週当たり2回(4時間)通年60回(120時間)となる。前期の第1週から第15週においては、研究計画書に基づいてデータ収集の方法、データ収集の実施及び分析・解釈までを学修する。後期の第1週から第15週においては、前期に引き続き、分析・解釈の結果を考察し、修士論文を作成・提出までを学修する。

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