Information on the knowledge and skills
教育上の目的に応じ学生が修得すべき知識及び能力に関する情報 看護学部
1)カリキュラムの構成概念
本学看護学部のカリキュラムは「考えて行動のできる人」の育成を基盤として、専門職としての人間形成と看護実践力の育成を目指し、人間に対する深い理解と自己の人間性及び科学的思考を育て、生涯を通し、自律した看護者として学び続ける姿勢を身につけることができるように、教養教育と専門教育を体系的に統合して編成しています。
2)授業科目の構成
本学部の授業科目の構成は以下の表に示す通り「教養教育分野」「専門基礎分野」「専門分野」で構成しています。
(1)教養教育分野
基礎分野は、まず「大学で学ぶとは」に始まります。「自然と心」を育てるために創造的思考力、論理的分析力、コミュニケーション能力、判断力、体力、気力、社会生活力、発想力を養う『サイエンス・リテラシー』『ヒューマン・リテラシー』の2つの領域を設定しています。
(2)専門基礎分野
専門基礎分野は、自ら考え行動する力を養う『知的探求入門』と、健康・医療・福祉など看護の専門能力を支えるために必要な『人体の構造と機能』『疾病の成り立ちと回復の促進』『健康支援と社会保障制度』の3領域を設定しています。
①『人体の構造と機能』
教養科目で学んだ内容を基盤として「人体の構造と機能Ⅰ」「人体の構造と機能Ⅱ」「人体の構造と機能Ⅲ」では、正常な人体の構造と機能及び人の生活との関連について学びます。「精神保健論」では心の構造と機能、人生における心の発達と危機及び精神保健を維持増進するシステムについて学びます。「栄養生化学」では、人が生きる、人が健康な生活を営むための生命現象を分子レベルから学び、栄養素が人の体内でどのように利用され健康にどのように影響しているかについて学びます。そのうえで「病理学」では、人間の疾病理解の基礎となる病理発症、進展、転帰、病因等疾患の概念の本質を学修します。
②『疾病の成り立ちと回復の促進』
「微生物学」では病原微生物の性状、病原性についての基礎知識を修得し、生体の防御機構としての免疫の基礎、防御機構と感染症、個々の病原微生物と感染症成立、予防、治療についての基礎知識を修得します。「症候論Ⅰ」「症候論Ⅱ」「症候論Ⅲ」では、臨床現場で遭遇する“患者の訴えや症候”から関連付けて要因・関連因子を考え、さまざまな病態を推察し、行われる検査や治療につながる疾病・治療論を学びます。さらに「臨床薬理学」では、看護の対象に用いられている薬の薬理作用、血中濃度モニタリングなどの知識について学びます。
③『健康支援と社会保障制度』
「公衆衛生学」では、公衆衛生活動の現状と課題、公衆衛生活動の基本的概念を、「疫学・保健統計学」「疫学」では、人間集団の疾病及び健康事象の発生状況の把握、疫学的思考及び方法、保健情報の収集、分析、解釈及び評価について、「保健医療福祉行政論Ⅰ」「保健医療福祉行政論Ⅱ」では社会の動きや新しい制度を学びます。
(3)専門分野
①基礎看護学
「看護学原論」では、人間・環境・健康・看護の概念及び看護の歴史、法的・倫理的側面、看護の位置づけや役割などの基礎的な知識を学びます。「対象論」では、看護の対象となる人々の生活について理解を深め、ケアリングの基礎を養います。
また看護の方法論に関する「看護学援助論」「ケア場面展開論」「看護援助技術論Ⅰ」「看護援助技術論Ⅱ」「看護過程展開論Ⅰ」「看護過程展開論Ⅱ」の科目では、健康、療養生活、障害をもつ人々の生活行為への援助について、基礎的知識・技術・態度を学びます。「基礎看護学実習Ⅰ」「基礎看護学実習Ⅱ」では、看護職としての基礎的な能力を修得し、看護実践能力の基盤づくりをします。
②地域・在宅看護
「地域・在宅看護論」では、人々の健康の社会的決定要因、健康課題解決のための資源を理解し、地域で生活する人々のQOL向上を目的とした看護のあり方や地域包括ケアシステムにおける保健・医療・福祉チームとの連携と地域で活動する看護職の役割について学びます。「地域包括ケア実習」では、地域包括ケアシステムの構造・機能とその中での看護護専門職の果たす役割について、「地域・在宅看護方法論Ⅰ・Ⅱ」では、在宅看護の基本的な考え方や援助方法、在宅における看護過程、在宅療養者と家族の生活を基盤とした問題解決について学びます。
③成人看護学
成人・向老期にある対象者の症候や治療に関わる看護を学びます。特に「成人看護学方法論Ⅰ」「成人看護学方法論Ⅱ」では、「成人看護学概論」で学んだ成人期の発達段階における位置づけや生活行動を基に、急性期から慢性期におけるそれぞれの病態、健康障害が及ぼす影響、看護支援について学びます。「成人看護学方法論Ⅲ」では、健康障害及び機能障害を持つ成人の看護実践に必要なアセスメント能力と看護過程の各段階における援助について、様々な事例を用いてアセスメント、看護判断力を修得します。成人看護学実習では、主として医療機関に治療・検査目的で入院している成人を対象に、心身両面への看護実践について学びます。
④老年看護学
「老年看護学概論」では、老いのプロセスへの理解と老いによる生活障害に焦点を当て、高齢者・家族・地域を理解する基盤となる知識・理論及び看護の役割を学びます。「老年看護学方法論Ⅰ」では、高齢者擬似体験や演習を通し老年期にある人の気持ちやコミュニケーションのとり方について理解を深め、生活の場の特徴に応じた日常生活援助方法を修得します。「老年看護学方法論Ⅱ」では、健康障害を抱え生活機能障害をもつ老年期にある人とその家族のアセスメントと看護過程の展開を修得し,老年看護学実習では、施設や病院に入所・入院している高齢者の持てる力を活かし、個を尊重した看護実践について学びます。
⑤小児看護学
「小児看護学概論」では、小児の健康な成長・発達過程の特徴と小児の健康に影響を及ぼす要因、小児看護の変遷等を学びます。「小児看護学方法論」では、小児の成長発達に関連する制度や保健活動、障害が小児や家族に及ぼす影響、共通する看護援助、小児看護に特有な技術について学びます。「小児看護学実習」では、地域・集団の中で生活している健康な小児と発達障害を持つ小児の成長発達と生活を理解し、その上で健康障害をもち入院生活をしている小児と家族への看護実践についても学びます。
⑥母性看護学
「母性看護学概論」では、母性看護の変遷や現状、対象の理解、思春期から更年期までの女性の健康支援について学びます。「母性看護学方法論Ⅰ・Ⅱ」では、妊娠・分娩・産後の母子のアセスメントと家族を含めた看護援助について学びます。「母性看護学実習」では、妊娠・分娩・産後の母子と家族に対する基礎的な看護実践や保健指導について学びます。
⑦精神看護学
「精神看護学概論」では、精神医療と看護の歴史的変遷や現状、心の健康を保持・増進させるための看護について学びます。「精神看護学方法論Ⅰ・Ⅱ」では、精神障がいをもつ人の回復過程における看護、症状や障がいの影響に関するアセスメント、家族支援について学びます。「精神看護学実習」では、精神障がいをもつ人の社会復帰や地域で安定して生活する上で必要な看護援助の実際を学びます。
⑧公衆衛生看護学
「公衆衛生看護学概論」では、公衆衛生看護の歴史・理念及び地域社会の人々の健康を保持増進し、疾病を予防するため活動方法や保健師の役割について学びます。「健康生活支援論Ⅰ」「産業保健活動論」では対象別の支援方法、「健康生活支援論Ⅱ」では地域診断、「公衆衛生看護活動論」「公衆衛生看護技術演習」では、家庭訪問・保健指導・健康教育などの公衆衛生看護技術、「公衆衛生看護管理論」では公衆衛生看護管理の目的・構造・機能、専門的自立と人材育成、健康危機管理について学びます。「公衆衛生看護学実習Ⅰ」では産業保健及び学校保健での保健師活動と役割、「公衆衛生看護学実習Ⅱ」では行政保健師の活動と役割について学びます。
⑨看護の統合と実践
看護実践能力の統合領域として『社会のニーズに応える看護』に関する科目を設定しています。看護の統合分野では、各領域に共通し、包含・統合する必修科目と、先駆的な実践へとつながる選択科目を開設しています。「統合実習」では、4年間の学びを統合し、対象に応じた看護の提供のあり方、医療看護提供のしくみ、保健・医療・福祉との連携、協働を通してチームの一員としての看護実践能力を高めることをねらいとして学修します。
3年次前期開設の「看護研究」では、看護研究の目的・意義と研究のプロセス、文献検索方法、研究方法、研究計画等を学修します。4年次通年開設の演習科目「研究ゼミナール」では、看護研究での学びを基に、看護に関する学びの集大成の一環として、研究課題を明らかにし、文献検索、文献クリティーク、研究計画書の作成等を学修します。
(4)臨地実習
臨地実習の目的は、大学で学んだ理論、知識、技術をダイナミックな実習環境に身をおいて人間尊重を基盤に人間関係を発展させ、看護の対象を総合的に理解し、科学的な判断に基づいた看護実践能力を養うことです。さらに高度化・複雑化する医療チームの中の看護職者になる人としての自律性を高め、看護マネジメント能力を養うことにあります。そのために、以下のことを目指しています。
- ① 個人及び家族を尊重し人間関係を形成することができる.
- ② 看護の対象を身体的、心理的、社会的側面から総合的に理解し、説明できる.
- ③ 看護の対象の健康、生活を科学的根拠に基づいて判断し、看護計画、実践、評価の実践過程について説明できる。
- ④ 保健医療チームにおける一員であること、看護職の役割を理解し、責任ある行動をとることができる。
- ⑤ 看護職になる者として看護の実践能力の研鑽に努めることができる。